マジック辞めますか、それともエクテン始めますか
2003年6月16日・マジック
《対抗呪文》はマジックではありません。
たかだかカウンター1枚落ちる程度で騒ぐのは馬鹿らしいですな。
しかしまあ、パワーバランスを調整してきた結果、各色が「なんでもできた時代(4E)」では《対抗呪文》すら霞んでいたのですが、このカードですら8版では「パワー・カード」とみなされてしまうということでしょうか。
逆に言えば、「《対抗呪文》があるからこれを入れてもいい」という、パワーゲームの発端になりかねないカードでもあるということで、基本セット落選は惜しいですが、スタンダードに《対抗呪文》が消えた環境があるというのもひとつの記録かもしれません。
しかしながら、ミラディンおよび次の独立ブロックで《対抗呪文》が入らないことが確約されているわけでもなく、逆に言えばこの呪文はエキスパートレベルのカードであるということでしょうか。
−
《解呪》が落ちたことで白の弱体化が言われているようですが、もともと《解呪》をメインに積んでいたデッキがどれほどあるかは疑問。
選択肢を減らされることは大きいかもしれませんが現在単色デッキはエクテンですら苦しい戦いをしているわけで、しかもエクテンでも《解呪》の比率はたいしたこともありません。
そして、スタンダード、エクステンデッドにおいても、対策すべきアーティファクトは《罠の橋》《波停機》程度であることを考えると、軽いエンチャント破壊が入ってきたことはまったく後退ではないということです。
クリーチャー面でも《サバンナ・ライオン》が復活し、速度面では強固になりましたが現在の環境をクリーチャーで押せるかどうかは疑問です。緑や黒、そして《神の怒り》に対して無防備なため、ウイニーだけで勝てるほど強まってはいないかと。
そのかわり《象牙の仮面》《崇拝》《因果応報》《物語の円》と「最後の手段」的エンチャントが数多く搭載され、サポート面では「ガッチリと」した印象を受けます。
−
《対抗呪文》はなくなりましたが、軽い呪文でソーサリー・エンチャント・アーティファクトをカウンターすることができなくなっているのは確かに痛いかもしれません。《巻き直し》があるとはいえ、4マナ溜まるまでに趨勢は決しそうです。そこを耐えられるかどうか、プレイングやカードの選び方をよく考えないといけないでしょう。
それらすべてを《マナ漏出》が担っているといっても過言ではなく、また《ブーメラン》も「出てしまった」ものに対しての回答にせざるを得ないことを考えると、青だけでなんでもできる時代はようやく終わりを迎えそうです。
ただしマナが十分出てしまうと青の独壇場になるのは間違いなく、マナ・ブースト、あるいは序盤を耐える青白の組み合わせが再び隆盛しそうな感じ。
またドローもあの《Merchant Scroll》復活、および《索引》《目録》《集中》と「良くもないが悪くはない」ドローカード、および《交易路》と《突撃の地鳴り》コンボ等、見るべきところはまだ残っています。
8版のカードプールだけでもそれなりのポテンシャルは持っているわけで、決して見劣りはしないと思います。
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黒は《強迫》を失いましたが、これが基本セットに入っていることがおかしい(《リバー・ボア》と同様)のであって、逆に《ファイレクシアの疫病王》や《ネクラタル》によるクリーチャー・コントロールの柔軟性は増しています。
全体除去は少なく、万能除去はあいかわらず《闇への追放》だけが頑張っていますが、色が合えば《殺戮》や《処刑》だって十分使えます。
《ファイレクシアの闘技場》は十分役に立つとは思いますが、《Underworld Dreams》が環境を変えるに値するだけのカードかどうかは微妙なところ。ライフゲインの友である《堕落》を失った今、大した活躍は望めないかもしれません。
TOがスタンダード現役であるいましばらくの間、この新しいカードプールをいかに活用するかが今後の課題でしょう。今は黒が面白い時期だと思います。
−
赤は6版7版の苦難の時代を経て、ようやく「第一線」に戻ってきた感じです。
ただ《ボガーダンの鎚》はやりすぎだという人もいるでしょうが、結局これは赤を二つ使う「重い」ソーサリー以上の使い道はなく、現在のゴブリンデッキにギリギリ入るかどうかというところ。
同じ3点ソーサリーには《火山の鎚》があるわけで、8版が入ることによってスタンダードでフルバーンが組めるほどの火力を手に入れるわけですが(今でもありますが)、《罠の橋》に頼らないと何もできないのは現在でも未来でも変わらないと思われます。
また、《Guerrilla Tactics》というまた搦め手な火力も参入していますが、《ショック》よりもパフォーマンスは落ちるため、カードプール増加以上の役目は果たしていないと思われます。インスタント呪文であることは評価できますが、ONSブロックの火力の揃いと《ボガ^ダンの鎚》があることを考えるとたとえインスタントでもこれをメインに積むかどうかは微妙なところです。
《地震》が消えて《インフェルノ》は残っているという困ったことになっていますが、どちらも大してトーナメント環境に影響を与えるカードではなかった(非常に残念なことながら)ため、カードプールへの影響はさほどでもないかと。
ただし、土地破壊への《略奪》アウトの痛撃は思った以上にジワジワと来るかもしれません。もっとも、《荒廃の箱》もオマケで考えると破壊カードが減ったわけでもないので、《略奪》が(おおかたの評価どおり)万能すぎたというだけの話。さすがアライアンス。
−
緑は《帰化》参入が大きく叫ばれていますが、失ったものがひとつあります。
《早摘み》が消えたことでコンボパーツを失うデッキは後を立たず、非常に惜しまれるカードです。
《すき込み》は確かに強力でしたが、最も重要なのは《再供給》による再利用であったことを見逃しています。こういったキーカードはサポートがあって初めてカード単体以上の働きをするというコンボの基礎を見ていない初心者が多いのは悲しいことです。
ただ、色の理念からやや外れた感じのあるカードであるだけに、なぜ今《すき込み》なのか?という疑問は感じます。
クリーチャー面では《皇帝クロコダイル》《ラノワールのビヒモス》と、「《アーナム・ジン》に代わるクリーチャー・・・か?」と期待され、そして環境がこの第二第三のアーナムを必要としなかったため、見過ごされてきた「二軍」クリーチャーたちが復活です。また、大きいだけの代名詞《大喰らいのワーム》が復活と、本当にただ大きいだけのクリーチャーが数多く揃いました。
結局、チャンプブロックや再生、および同サイズのクリーチャーと渡り合うには決定打を失っており、それを《巨大化》《超巨大化》《樫の力》《ブランチウッドの鎧》《再生》《寄せ餌》で乗り越えていくという緑らしい構図を作り上げています。
マジックの花形であるクリーチャー同士のぶつかり合いには最適・・・なのかもしれません。
−
基本セットらしくないカードもいくつか見られます。
赤の《泥棒の競り》はいままで基本セットの赤に見られた「bid」を引き継ぐものですが、ルール的見地から言えば「set aside」を使うカード(基本ルール内の領域に属さない場所)を使うべきではなく、あるいはこのカードにエラッタが出されるのかもしれませんが、それならば他にも選ぶカードはあったはずです。《無道の競り》を外さなければいけない理由もいまいちわかりません。
使われないカードに対して何らかの働きかけをすること自体、マジックにとって意味のないことであり、ただでさえ他に問題を抱えているのだから蛇足以外の何物でもありません。
《Vexing Arcanix》も「name card」を使うカードですが、セット内に同様のカードが一枚もなく、また昔から注目も利用もされてこなかった(僕は好きですが)カードを採録する理由も謎です。
プレイヤー投票ではあきらかに「決まりきった」カードを選ばせておいて、開発部でこういった「明らかにいらない」カードを忍ばせておくやりかたには賛同できかねます。
−
土地に関してはダメランが消えることで多色デッキでもやや柔軟性が失われてしまい、かわりに入ったタップインでしのぐか、スピードを求めるならば《真鍮の都》をデッキに入れるしかなくなっています。
敵対色でもデッキが組めるようにもしてほしかったのですが、友好色のみのこの選択にはいまいち納得できないものがあります。
まあ、敵対色でのタップインはTEのものしかないので素人にはお勧めしないのもわかりますが。
−
なんにせよ、環境は変わります。僕にとっては4回目の変更なのでぐだぐだ愚痴を言っているヒマがあったら新しい環境について考えを巡らすほうがよっぽど有意義です。
落ちたカードはエクテンで使えば良く、フォーマットは変わるものなので投資に対して不平不満はあるでしょうがそれを見越して運用するのもまたマジックの難しいところです。
流行り廃りではなく、「このカードは長く使えるのかどうか」も考えてデッキやカードにお金を使うことも賢いマジックのやりくりのしかたではないかと。
《対抗呪文》はマジックではありません。
たかだかカウンター1枚落ちる程度で騒ぐのは馬鹿らしいですな。
しかしまあ、パワーバランスを調整してきた結果、各色が「なんでもできた時代(4E)」では《対抗呪文》すら霞んでいたのですが、このカードですら8版では「パワー・カード」とみなされてしまうということでしょうか。
逆に言えば、「《対抗呪文》があるからこれを入れてもいい」という、パワーゲームの発端になりかねないカードでもあるということで、基本セット落選は惜しいですが、スタンダードに《対抗呪文》が消えた環境があるというのもひとつの記録かもしれません。
しかしながら、ミラディンおよび次の独立ブロックで《対抗呪文》が入らないことが確約されているわけでもなく、逆に言えばこの呪文はエキスパートレベルのカードであるということでしょうか。
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《解呪》が落ちたことで白の弱体化が言われているようですが、もともと《解呪》をメインに積んでいたデッキがどれほどあるかは疑問。
選択肢を減らされることは大きいかもしれませんが現在単色デッキはエクテンですら苦しい戦いをしているわけで、しかもエクテンでも《解呪》の比率はたいしたこともありません。
そして、スタンダード、エクステンデッドにおいても、対策すべきアーティファクトは《罠の橋》《波停機》程度であることを考えると、軽いエンチャント破壊が入ってきたことはまったく後退ではないということです。
クリーチャー面でも《サバンナ・ライオン》が復活し、速度面では強固になりましたが現在の環境をクリーチャーで押せるかどうかは疑問です。緑や黒、そして《神の怒り》に対して無防備なため、ウイニーだけで勝てるほど強まってはいないかと。
そのかわり《象牙の仮面》《崇拝》《因果応報》《物語の円》と「最後の手段」的エンチャントが数多く搭載され、サポート面では「ガッチリと」した印象を受けます。
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《対抗呪文》はなくなりましたが、軽い呪文でソーサリー・エンチャント・アーティファクトをカウンターすることができなくなっているのは確かに痛いかもしれません。《巻き直し》があるとはいえ、4マナ溜まるまでに趨勢は決しそうです。そこを耐えられるかどうか、プレイングやカードの選び方をよく考えないといけないでしょう。
それらすべてを《マナ漏出》が担っているといっても過言ではなく、また《ブーメラン》も「出てしまった」ものに対しての回答にせざるを得ないことを考えると、青だけでなんでもできる時代はようやく終わりを迎えそうです。
ただしマナが十分出てしまうと青の独壇場になるのは間違いなく、マナ・ブースト、あるいは序盤を耐える青白の組み合わせが再び隆盛しそうな感じ。
またドローもあの《Merchant Scroll》復活、および《索引》《目録》《集中》と「良くもないが悪くはない」ドローカード、および《交易路》と《突撃の地鳴り》コンボ等、見るべきところはまだ残っています。
8版のカードプールだけでもそれなりのポテンシャルは持っているわけで、決して見劣りはしないと思います。
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黒は《強迫》を失いましたが、これが基本セットに入っていることがおかしい(《リバー・ボア》と同様)のであって、逆に《ファイレクシアの疫病王》や《ネクラタル》によるクリーチャー・コントロールの柔軟性は増しています。
全体除去は少なく、万能除去はあいかわらず《闇への追放》だけが頑張っていますが、色が合えば《殺戮》や《処刑》だって十分使えます。
《ファイレクシアの闘技場》は十分役に立つとは思いますが、《Underworld Dreams》が環境を変えるに値するだけのカードかどうかは微妙なところ。ライフゲインの友である《堕落》を失った今、大した活躍は望めないかもしれません。
TOがスタンダード現役であるいましばらくの間、この新しいカードプールをいかに活用するかが今後の課題でしょう。今は黒が面白い時期だと思います。
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赤は6版7版の苦難の時代を経て、ようやく「第一線」に戻ってきた感じです。
ただ《ボガーダンの鎚》はやりすぎだという人もいるでしょうが、結局これは赤を二つ使う「重い」ソーサリー以上の使い道はなく、現在のゴブリンデッキにギリギリ入るかどうかというところ。
同じ3点ソーサリーには《火山の鎚》があるわけで、8版が入ることによってスタンダードでフルバーンが組めるほどの火力を手に入れるわけですが(今でもありますが)、《罠の橋》に頼らないと何もできないのは現在でも未来でも変わらないと思われます。
また、《Guerrilla Tactics》というまた搦め手な火力も参入していますが、《ショック》よりもパフォーマンスは落ちるため、カードプール増加以上の役目は果たしていないと思われます。インスタント呪文であることは評価できますが、ONSブロックの火力の揃いと《ボガ^ダンの鎚》があることを考えるとたとえインスタントでもこれをメインに積むかどうかは微妙なところです。
《地震》が消えて《インフェルノ》は残っているという困ったことになっていますが、どちらも大してトーナメント環境に影響を与えるカードではなかった(非常に残念なことながら)ため、カードプールへの影響はさほどでもないかと。
ただし、土地破壊への《略奪》アウトの痛撃は思った以上にジワジワと来るかもしれません。もっとも、《荒廃の箱》もオマケで考えると破壊カードが減ったわけでもないので、《略奪》が(おおかたの評価どおり)万能すぎたというだけの話。さすがアライアンス。
−
緑は《帰化》参入が大きく叫ばれていますが、失ったものがひとつあります。
《早摘み》が消えたことでコンボパーツを失うデッキは後を立たず、非常に惜しまれるカードです。
《すき込み》は確かに強力でしたが、最も重要なのは《再供給》による再利用であったことを見逃しています。こういったキーカードはサポートがあって初めてカード単体以上の働きをするというコンボの基礎を見ていない初心者が多いのは悲しいことです。
ただ、色の理念からやや外れた感じのあるカードであるだけに、なぜ今《すき込み》なのか?という疑問は感じます。
クリーチャー面では《皇帝クロコダイル》《ラノワールのビヒモス》と、「《アーナム・ジン》に代わるクリーチャー・・・か?」と期待され、そして環境がこの第二第三のアーナムを必要としなかったため、見過ごされてきた「二軍」クリーチャーたちが復活です。また、大きいだけの代名詞《大喰らいのワーム》が復活と、本当にただ大きいだけのクリーチャーが数多く揃いました。
結局、チャンプブロックや再生、および同サイズのクリーチャーと渡り合うには決定打を失っており、それを《巨大化》《超巨大化》《樫の力》《ブランチウッドの鎧》《再生》《寄せ餌》で乗り越えていくという緑らしい構図を作り上げています。
マジックの花形であるクリーチャー同士のぶつかり合いには最適・・・なのかもしれません。
−
基本セットらしくないカードもいくつか見られます。
赤の《泥棒の競り》はいままで基本セットの赤に見られた「bid」を引き継ぐものですが、ルール的見地から言えば「set aside」を使うカード(基本ルール内の領域に属さない場所)を使うべきではなく、あるいはこのカードにエラッタが出されるのかもしれませんが、それならば他にも選ぶカードはあったはずです。《無道の競り》を外さなければいけない理由もいまいちわかりません。
使われないカードに対して何らかの働きかけをすること自体、マジックにとって意味のないことであり、ただでさえ他に問題を抱えているのだから蛇足以外の何物でもありません。
《Vexing Arcanix》も「name card」を使うカードですが、セット内に同様のカードが一枚もなく、また昔から注目も利用もされてこなかった(僕は好きですが)カードを採録する理由も謎です。
プレイヤー投票ではあきらかに「決まりきった」カードを選ばせておいて、開発部でこういった「明らかにいらない」カードを忍ばせておくやりかたには賛同できかねます。
−
土地に関してはダメランが消えることで多色デッキでもやや柔軟性が失われてしまい、かわりに入ったタップインでしのぐか、スピードを求めるならば《真鍮の都》をデッキに入れるしかなくなっています。
敵対色でもデッキが組めるようにもしてほしかったのですが、友好色のみのこの選択にはいまいち納得できないものがあります。
まあ、敵対色でのタップインはTEのものしかないので素人にはお勧めしないのもわかりますが。
−
なんにせよ、環境は変わります。僕にとっては4回目の変更なのでぐだぐだ愚痴を言っているヒマがあったら新しい環境について考えを巡らすほうがよっぽど有意義です。
落ちたカードはエクテンで使えば良く、フォーマットは変わるものなので投資に対して不平不満はあるでしょうがそれを見越して運用するのもまたマジックの難しいところです。
流行り廃りではなく、「このカードは長く使えるのかどうか」も考えてデッキやカードにお金を使うことも賢いマジックのやりくりのしかたではないかと。
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