アラーラブロックのお話が一本にまとまった小説。といっても、話はコンフラックスの直前から始まります。

とりあえず後半戦。久遠の闇から計画を知ったアジャニは、世界で起こっている戦争を止めようとします。
”共にあるぞ、弟よ”ジャザルの声が響いた。
「止めなければならぬ」アジャニは言った。
「我らが大渦を引き起こしていたのだ。我々は生餌なのだ」
”そうだ。餌となることを止めるのだ”ジャザルが言う。
「俺は皆が餌になることを止めなければならぬ」
”そうだ。皆を止めるのだ”

アジャニは力を解放し、あらんかぎりの魔力を振り絞りアラーラ全土に戦意喪失の魔法をかけます。
「アジャニ、やったわ!」友人のザリキが言った。「どうやったのかはわからないけど、魔法を止めたのね」
アジャニはうなずいた。消耗しきっていた。
『だが礼など言わぬぞ』

古竜のプレインズウォーカー、ニコル・ボーラスが、空より姿を現していた。

『小さきウォーカーよ』ボーラスは言った。
アジャニは眼前のナカティルやエルフ、人間たちがドラゴンに対して攻めかかろうとしているのを感じた。馬鹿な。一瞬で全員死ぬことになるだけだ。
「みな、退がれ!」アジャニは叫んだ。「早く!」
「あなたはどうするの」とザリキ。
「なんとかする」とアジャニ。「行くんだ。ザリキ。さあ!」

『しばしのよい見世物だったよ、小さきウォーカー』ボーラスは言った。『定命の者どもを過信するのも止める必要があろうな』
「見ていただけだろう」アジャニは言い放った。「隠れていただけだ」
『隠れていた?ありえんな。我はお前の人生から少し離れていただけだ、小さき猫。すぐ近くにいたのだ。我のドアは大きく開いていたというのに。
 我はお前の間違いを責めることはしない。お前はやっと一歩を踏み出すことを覚えたばかりだからな。それほど、お前より我は遠くにあり、筆舌に尽くしがたく、非現実的だということだ。お前は経験は我と比べるべくもないであろう。お前は我の遠大なる思考を理解するだけの言及の枠も、理論的な網も持ち合わせておらぬ。理解などできぬのだ。理解する能力が欠如しておるのだ。
 我はお前が想像できぬ距離を見てきておる。お前はできるのか?お前の想像力はひとつの世界の境界線の内に閉じこもっている程度だ。そんなものが意味を持つというのか?否!お前の兄の死は?偶然の一致は? 我と釣り合うわけがなかろう。ちっぽけなナヤは、すべての真実の入れ物とするにはあまりに浅すぎるのだ。』



とりあえず罵倒したおすボーラスさん。しゃべりすぎじゃね?
プレインズウォーカー同士の勝負の行方は、そしてボーラスの計画はどうなるのか、答えはこの小説のなかにあります(とりあえずオチは読みました)。

コメント

nophoto
灰粉
2009年4月30日22:06

こんばんは!翻訳ありがとうございます…!
アジャニ結構好きなので大活躍でうれしいです><
ここまで読むとサルカンやエルズペスの様子も気になってきますね~

AGENTS…もろくに読めてませんが
これはamazon購入しなくては(汗)

JFK_
2009年5月1日2:12

コメントありがとうございます。今回、各断片の出来事が小さな章仕立てで物語が進行していくので「チャプターいくつ」と区切りをつけにくいのが困ったところ。

中盤でエルズペスがハジードを詰問しているシーンが面白そうだったのでピックアップ。

「お戻りなさい、ハジードさん。わたくしは貴方に少し奇妙な質問をしたいのです。ここでは正直に答えて欲しいのです。貴方の答えは貴方自身の状況だけではなく、バント全体にとって重要かもしれないのです」
ハジードは相貌を崩してへらへら笑いながら「なぜ? いったいどういうことです?」
「最近、貴方は誰かと接触を持ちましたか? ・・・その・・・おかしな人物と? 貴方が余所者だと考えるような誰かと?」
ハジードは鼻で笑い、「どの土地も私にとっては他所の地じゃありませんよ。私はバント全土を旅しているのですから」
エルズペスは瞬きをして「貴方は聞いたのではない。そうですね?」
「聞いた?何をです?彼らは何もおかしなことなど語っていませんよ」
「そう、仰るとおり貴方は旅をするもの。だから知ることが出来る位置に居る。誰が、あなたにそれを伝えたのです?破滅をもたらす呪文の計画を。誰が貴方のもとへもたらしたのですか?」
「わ、私は――」ハジードは演技を止めた。彼の目はせわしなく動き、部屋のあちこちを見た。ただ、エルズペスだけは見ようとしなかった。
「誰なのです?」
「い、言うことはできません」ハジードは言った。「嘘だと思うに決まっています」
「言ってみてください。他の人たちは理解できなかった。それがわたくしがホリンを退けた理由です。わたくしはあなたを信じます。」
「言えません。彼・・・彼は、誰かに言ったら殺す、と」
「わたくしが護ります」
ハジードはくつくつ笑った。「彼からは無理だ」
「ハジード」エルズペスは言った。「あなたは昨今の地響きや嵐が何であるか知っているのですか?」
「私は何も知りません」彼の目は定まらなかった。「でも、予想はつきます」
「どう予想したのです?」
「彼の仕業です。彼はここに来て、私に力を約束してくれました――でも彼は、私を騙して私に城を破壊させたんです。私はもうおしまいだ。彼は結果から私だけは救い出しにやってくると言いました。でも今になってわかる。彼は私を救いはしない。彼は私を利用したんだ」
「誰なの?」
「ドラゴンですよ」

nophoto
灰粉
2009年5月2日16:29

おお!長文レスありがとうございます~^^
なんだかもうすべての悪の根源はニコルさんって感じですよね。
言い換えればおいしいところをもってっちゃうって感じですよね!
お話の最後でも絶対死なないんだろうな~この竜。

JFK_
2009年5月2日20:42

すごそうに書いておいてその実、フタをあければ中二設定とジャンプマンガのノリなんですけどね。

シャドウムーアといいアメリカにも中二のカタルシスが横行しているのかも

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