From the Vault: Exiledは、ある時点で禁止や制限された15枚のカードで構成されています。

それらのうちの何枚かは昔のカードなので、8枚のカードを新規書き下ろしで収録しています。(記事ではそのうち5枚を紹介)。その中には今までフォイルで刷られていないもの、新規枠で存在しないものが含まれています。

From the Vault: Exiledに含まれる15枚のカードは禁止、制限されたり解除されたりという歴史を持っています。それがどうして禁止、制限され、あるいは解除されたのかは、ボックスに収録されているペラ紙で解説していますのでそちらを見てもらうとして、今回は15枚のカードがどのように選ばれたのかを説明していきたいと思います(どうでもいい説明を大幅に省略)

《天秤/Balance(4ED)》新規イラスト

《天秤/Balance》はたった1枚のカードで盤面をひっくり返せるということを示してきました。ヴィンテージでもこれを入れた強力なコントロールデッキが流行していました。その理由のひとつが、クリーチャー・デッキが危険なクリーチャーを並べたなら、教示者で《天秤/Balance》を見つけてくれば何もかも解決できるということがあります。だからこそコントロールデッキをプレイするのが流行ったわけです。

以前にもジャッジプロモで《天秤/Balance》を印刷しましたが、今回は新しい絵で刷りなおしました。

《Berserk(UN)》新規イラスト

初期のマジックの開発者たちはクリーチャーを過大評価していて、呪文を過小評価していました。94年時点で非常に強力であることがわかっていたのに、《Berserk》が95年まで制限がされていなかったことからもわかります。4枚《天秤/Balance》が入っているようなデッキは冗談じゃないですが、《Berserk》はそれほど問題を起こさなかったことから、制限が解除されることとなりました。現在、ヴィンテージで《Berserk》を4積みすることができます。

《チャネル/Channel(4ED)》

マナは我々がマジックのバランスをとるために使うひとつの要素ですが、《チャネル/Channel》はその要素を無視できる方法のひとつです。「チャネルボール」はマジックでも有名なコンボのひとつであり、《チャネル/Channel》が4枚使えた時期はひどいものでした。当然、ヴィンテージでは1枚しか使えません。

《けちな贈り物/Gifts Ungiven(CHK)》オリジナルイラスト

いついかなるときも、好きなカードを探してこれて、カードが増えるということは、数千点のマナに匹敵するほど強力です。エクステンデッドでは、ウルザ地形から《精神隷属器/Mindslaver(MRD)》を永久に回し、《春の鼓動/Heartbeat of Spring(CHK)》でストームを稼いでいました。ヴィンテージでは《Mana Drain》や《ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will(USG)》と相性が良すぎて、制限されました。エターナル以外のフォーマットではいろいろひどいデッキを実現させたとして、From the Vault: Exiledに収録されました。

《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey(USG)》新規イラスト

手も足も出ずにゲームが一瞬で終わったら、それは面白くはないでしょう。これが印刷された当時のパートナーは《ゴブリンの突然変異/Goblin Mutant(ICE)》でした。それは面白くはあったのですが、《恐怖/Terror(10E)》1発でことは済みました。《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander(SCG)》が出てしまうと、その致命的なほどの威力が浮き彫りにされ、禁止にせざるを得なくなりました。

たった2枚で強力なことができてしまうコンボは、スタンダードでも非常に気を使っていることです。しかし、こういった機能がコンボを生み出すからこそ、マジックは面白いのです。《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey(USG)》が存在するゆえに、スタンダードのセットに強力なゴブリンを入れることができなくなりました。能力を減らしたり制限した《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey(USG)》を作ることもひとつの案ではありますが、それではカード同士の相互作用が面白くなくなってしまいます。

《密林の猿人/Kird Ape(9ED)》

なぜこのカードが含まれているのか疑問に思う人も居るかもしれませんが、確かにエクステンデッドで最初に禁止されたカードのうちの1枚です。ただ、クリーチャーは攻撃やブロックだけが仕事で、そんなに問題を起こさないため、最近の禁止カードで《密林の猿人/Kird Ape(9ED)》や《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》が選ばれない理由となっています。

《水蓮の花びら/Lotus Petal(TMP)》オリジナルイラスト

一回限りのマナ加速というのは、ものすごく強すぎるか弱すぎるかのどちらかであるとマジックの歴史は示してきました。最近の例でいえば《炎の儀式/Rite of Flame(CSP)》がドラゴンストームデッキに使われていたのですが、どうしてこんなものを印刷するのか、と思われる人も居るでしょう。これらはたとえ強力でなくとも、プレイヤーには魅力的だからです。
テンペストのトーナメントでは、リミテッドでも《水蓮の花びら/Lotus Petal(TMP)》は誰かしらのメインデッキに入っていました。マジック・オンラインでもこのカードは人気が高いのですが、こういったカードは危険すぎるので開発者としては寂しい限りです。

《神秘の教示者/Mystical Tutor(MIR)》オリジナルイラスト

好きなカードを探してこれるというのは、どれだけコストがかかろうとも強力です。《Demonic Tutor(3ED)》や《Demonic Consultation(ICE)》はすぐにカードが手札に入るために強力ですが、だからといってミラージュの教示者たちが弱いというわけではなく、使いようによってレガシーの「ADストーム」のような強力なコンボも可能となるのです。このカードは、周りにあるカードが強ければ強いほど価値があります。だから、最近は強力なだけのカードや友達をなくすようなカードを作らないように気を使っています。

《ネクロポーテンス/Necropotence(ICE)》新規イラスト

《ネクロポーテンス/Necropotence(5ED)》は、マジックのレッスンをひとつ教えてくれます。つまり、優秀なドローエンジンは燃料となるデッキを選ばない。初期のころはドローエンジンを使ってクリーチャーを出し続けるために使われていましたが、後期になってくると《生命吸収/Drain Life(5ED)》や《堕落/Corrupt(USG)》を撃ち込むデッキとなり、究極の発展系は《Illusions of Grandeur(ICE)》を《寄付/Donate(UDS)》するデッキのために使われていました。どういうデッキで使われていようとも、やることはひとつです。カードを引いて、引いたカードを相手に対して使う。それで勝ちです。

レッスン2はフォーマットの管理との関係です。《ネクロポーテンス/Necropotence(5ED)》が存在しているトーナメントで、これを禁止するかわりにそのデッキに採用されたカードを禁止、制限しているということです。これからも、この先も、新しいパートナーを得て悪さをするでしょうが、この犯人は禁止にしないつもりです。

《ネクロポーテンス/Necropotence(ICE)》のフォイルはデッキマスターズで刷られていますが、そのときは新枠ではありませんでした。今回は新枠新イラストとなりました。イラスト内の魔術師がどのような運命に見舞われるか、知りたいと思う人はいないかもしれませんが。

《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top(CHK)》

このカードの行うことは実にさまざまです。3枚カードを見て、考えて、並べ替えて、元に戻す。このたぐいのデリケートな作業を楽しんでいる人も居ますが、その対戦相手やその他大勢はどうではなさそうです。しかし、《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top(CHK)》は強力であり、勝つためにはそれをプレイすることが求められているために、トーナメントの進行が遅くなろうが、相手がつまらなさそうな顔をしようがプレイされてきているのです。
それでも我々はそれを楽しむ人がいるゆえに、こうしたカードを作ることを止めはしません。

《Serendib Efreet》

昔から青は強力な呪文が多いことで有名でしたが、アラビアン・ナイトが発売された後、《Serendib Efreet》用に青をタッチしたビートダウン・デッキが流行しました。青のクリーチャーを使うなら青のデッキを組めばいいはずなのですが、青のクリーチャー群がそこまで恵まれていないために、青タッチという手段が採られたわけです。

《頭蓋骨絞め/Skullclamp(DST)》

強力なアーティファクトというのは実に問題です。色に頼ることなく、ひとつのアーティファクトがフォーマット全体をゆがませてしまうこともあるからです。このカードはそういったものの1枚でした。2004年のUSリージョナルで、《電結の荒廃者/Arcbound Ravager(DST)》親和デッキに《頭蓋骨絞め/Skullclamp(DST)》、ゴブリンデッキに《頭蓋骨絞め/Skullclamp(DST)》、エルフと《歯と爪/Tooth and Nail(MRD)》コンボに《頭蓋骨絞め/Skullclamp(DST)》といったデッキが上位に並びました。結局、《頭蓋骨絞め/Skullclamp(DST)》を使うか、使わなければ下位に落ちるだけという圧倒的な強さを誇ったために、このカードは禁止されることになりました。

《露天鉱床/Strip Mine(4ED)》

呪文を唱えることは大変面白いことです。3マナの土地破壊呪文はその楽しさを時々奪うだけのことでしたが・・・これがゼロマナでできるとしたら、そして《壌土からの生命/Life from the Loam(RAV)》や《世界のるつぼ/Crucible of Worlds(10E)》で使いまわせたら。
ほら、目の前に何も残らなくなりました。

《修繕/Tinker(ULG)》新規イラスト

マジックにおける強力なカテゴリのふたつは、マナ加速と好きなカードをライブラリーから探すことです。《修繕/Tinker(ULG)》は間接的にその2つをなしえます。好きなカードを持ってこれるのは見たままです。ではマナ加速はというと、これによって持ってきたカードが場に出るということです。リアニメイトのようにコストを踏み倒してコストが重いクリーチャーを出す場合、2つのステップを行う必要があります。まず墓地にそのクリーチャーを落として、それから《動く死体/Animate Dead(5ED)》などの呪文を唱える必要がありますが、これは墓地に置くステップが必要ありません。《修繕/Tinker(ULG)》にとって悪さをするものがたくさんあるため、禁止リストの筆頭にあげられるのは不思議ではありません。

《三なる宝球/Trinisphere(DST)》

呪文を唱えることは大変面白いことです。大事なことなので2回言いました。《Mishra’s Workshop》からこれが1ターン目に出てくると何も唱える呪文が無くなってしまうのは面白いはずがありません。しかし、エクステンデッドとレガシーにおいて、《三なる宝球/Trinisphere(DST)》は救い主として称えられていることは、間違ったカードを開発したとも言えないと思っています。そもそも《Mishra’s Workshop》自体がぶっこわれたカードですから、たとえヴィンテージでおかしなことになっていても、それ以外で正しい働きをしたと思われるのなら、マジック全体にとっては正解です。《三なる宝球/Trinisphere(DST)》はそういったカードだと思っています。

From the Vault: Exiledを世界でもっとも早く手に入れる400人に混ざりたいと思っているなら、来週末のGenConに遊びに来てください。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストブースで1日100個ずつ販売する予定です。それ以外の皆さんは正式発売日である8月28日までお待ちください。

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