ニッサは自分の考えから抜け出た。ハイバは歩くのを止めて、橋の真ん中でじっと立っていた。長い耳が上に反り返っていた。はるか下方に、彼女は地面部分のダフを周る猛禽の翼が空を過ぎていく音を聞いた。上方は、栓抜き状の枝の緑のもつれは奇妙に止まっていた。そのとき、彼女はそれを聞いた。リズミカルなひっかく音。前方のどこか、上のほうだ。なにか物音を立てるよりも彼女は慎重に背中の装備帯から自分の杖を抜き放つほうが良いことを熟知していた。
どうやら数は多いらしい。変わり樹森には危険な肉食動物が山ほど居る。シム猫はその鋭い背中の爪で蹴りつけるし、割った石で作られた剣を持つ森トロールなんかも居る。おそらく不死のタジュールであるかもしれない。夜中に森の地上部分をうろつきまわる輩で、コーの伝説では眼球の穴から生ける者の脳を吸い取るのだという。
それともそれ以外の何か、最近ひそやかに噂される新たな森の脅威かもしれない。何かが見えてきていた。
ひっかき音は続いていた――変わり樹の枝の堅い木の向こうから、鋭く長い爪の音。まさかオンドゥのベイロス!? 彼女の心は突如悲鳴を上げた。彼女はそれを見たことがある。エルフの数倍の大きさがあり、身軽に幹から幹へと飛び移る――体長の50倍近くの距離を跳ぶのだ――タジュールをその太い鉤爪で真っ二つにする。気ままに彼らは襲いかかり、家族全員を平らげてしまえる。
ニッサとハイバはじっと留まって木々のきしみを聞いていた。その削りカスでハイバが微笑み、彼のベルトからフックを取り出すまでは。彼はとても慎重に、通行証の代わりとして近くの枝にそれを放り投げた。間も無くその枝の向こうから口笛が響き、ハイバはフックを戻してベルトに掛けると前へ歩いていった。
二人の見張りが苔の巣の梯子の上に腰掛けていた。そのエルフたちが姿を見せる前にニッサが数秒その巣を見つめていなければならなかったほど、彼らは上手に隠れていた。彼らが通り過ぎるときに1人が頷きを返した。その2人の後ろの枝は、器用な魔力で長い角笛のように加工され、定住樹に警告を吹き鳴らせるかのように思われた。
目前に開けた定住樹の定住地の全景には、彼女はタジュールの建築家に賞賛を送らずにはいられなかった。一ヶ月ここで生活していても、いまだにこの光景には腕の産毛が逆立つ感動を覚える。超巨大な変わり樹の幹や枝に、数千もの鮮やかな色の木と苔、面晶体の形をした小屋が絡み合い、編み上げられた樹皮の巨大なベルトとなって巻きついているのだ。
どうやら数は多いらしい。変わり樹森には危険な肉食動物が山ほど居る。シム猫はその鋭い背中の爪で蹴りつけるし、割った石で作られた剣を持つ森トロールなんかも居る。おそらく不死のタジュールであるかもしれない。夜中に森の地上部分をうろつきまわる輩で、コーの伝説では眼球の穴から生ける者の脳を吸い取るのだという。
それともそれ以外の何か、最近ひそやかに噂される新たな森の脅威かもしれない。何かが見えてきていた。
ひっかき音は続いていた――変わり樹の枝の堅い木の向こうから、鋭く長い爪の音。まさかオンドゥのベイロス!? 彼女の心は突如悲鳴を上げた。彼女はそれを見たことがある。エルフの数倍の大きさがあり、身軽に幹から幹へと飛び移る――体長の50倍近くの距離を跳ぶのだ――タジュールをその太い鉤爪で真っ二つにする。気ままに彼らは襲いかかり、家族全員を平らげてしまえる。
ニッサとハイバはじっと留まって木々のきしみを聞いていた。その削りカスでハイバが微笑み、彼のベルトからフックを取り出すまでは。彼はとても慎重に、通行証の代わりとして近くの枝にそれを放り投げた。間も無くその枝の向こうから口笛が響き、ハイバはフックを戻してベルトに掛けると前へ歩いていった。
二人の見張りが苔の巣の梯子の上に腰掛けていた。そのエルフたちが姿を見せる前にニッサが数秒その巣を見つめていなければならなかったほど、彼らは上手に隠れていた。彼らが通り過ぎるときに1人が頷きを返した。その2人の後ろの枝は、器用な魔力で長い角笛のように加工され、定住樹に警告を吹き鳴らせるかのように思われた。
目前に開けた定住樹の定住地の全景には、彼女はタジュールの建築家に賞賛を送らずにはいられなかった。一ヶ月ここで生活していても、いまだにこの光景には腕の産毛が逆立つ感動を覚える。超巨大な変わり樹の幹や枝に、数千もの鮮やかな色の木と苔、面晶体の形をした小屋が絡み合い、編み上げられた樹皮の巨大なベルトとなって巻きついているのだ。
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