だが最後にはそのクリーチャーは弱り、目の前の幹にもたれるようにして息絶えた。
背骨は無いといけないわよね。 ニッサは考えた。彼女は剣を杖の中に収めながら周りを見渡した。その木は新しい角度で落ち着いたようで、北にずれて揺れていた。その枝に彼女の隊が目に入ることを願って幹を目で追っていった。しかし、弓音の戦闘の雄叫びも聞こえてはこなかった。彼女は幹から歩き出した。大きなこすれるような音がどこか梢のむこうから反響してきていた。木の上の空に浮かんだ2つの面晶体が互いにこすれあう慣れ親しんだ音が、彼女の意識を戻した。
彼女は歩いて開けた場所へ進んだ。若いジャディ樹の枝の白い樹皮の下でしゃがみこんだ。狭い谷が彼女の右側に広がっていた。そのはるか下には白もつれ毛河の轟音が峡谷から反響して幹にも響いていた。
日光は木々の間から漏れ前方で輝いていた。夢の中にいるようで、彼女はそこへ歩いて行った。
彼女は森の端で足を止めた。日光に目が慣れてくると、あのクリーチャーらが剥ぎ取って穴に詰め込んでいない植物が点々とある刈り取り区画を見ることが出来た。なにもなくなった地面は不規則に掘り起こされていた。苔ひび割れのタジュールの死体がその穴との間にばたばたと倒れていた。もっとも近い30歩ほどのところにある死体は頭蓋骨が潰されて横たわっていた。数人の吸血鬼が優しくも見える様子で死体に跪いていた。彼らはボロを着ていて、明るい日光の下でもつれた髪の毛は鈍く反射していた。腐ったような臭いは、死んだタジュールのものか吸血鬼のものかはっきりしなかった。いや、もしくは各吸血鬼の後ろでその血糊をしゃぶっている触手を持つクリーチャーのものかもしれなかった。彼女は喉に上がってきた塊を飲み込んだ。
唐突にさえずるような音が彼女の後ろから聞こえた。ニッサは杖を構えて振り返った。タジュールとハイバが数匹のクリーチャーに追われながら駆けてくるのを期待していた。彼女は目を閉じ、ゼンディカーの森の無尽蔵の力を近くに感じ、血の中に沸き起こらせ彼女の足の下の土やまわりのツタから引き寄せた。彼女は、ケダモノどもに、木を破壊するものに、バーラ・ゲドのジョラーガが不法侵入者を、蛮刀を持った余所者をどう扱うかを見せ付けてやるつもりだった。それはタジュールの甘いやりかたとは違う――あふれる憎悪で歓迎されるジャングルの厳しさだった。
背骨は無いといけないわよね。 ニッサは考えた。彼女は剣を杖の中に収めながら周りを見渡した。その木は新しい角度で落ち着いたようで、北にずれて揺れていた。その枝に彼女の隊が目に入ることを願って幹を目で追っていった。しかし、弓音の戦闘の雄叫びも聞こえてはこなかった。彼女は幹から歩き出した。大きなこすれるような音がどこか梢のむこうから反響してきていた。木の上の空に浮かんだ2つの面晶体が互いにこすれあう慣れ親しんだ音が、彼女の意識を戻した。
彼女は歩いて開けた場所へ進んだ。若いジャディ樹の枝の白い樹皮の下でしゃがみこんだ。狭い谷が彼女の右側に広がっていた。そのはるか下には白もつれ毛河の轟音が峡谷から反響して幹にも響いていた。
日光は木々の間から漏れ前方で輝いていた。夢の中にいるようで、彼女はそこへ歩いて行った。
彼女は森の端で足を止めた。日光に目が慣れてくると、あのクリーチャーらが剥ぎ取って穴に詰め込んでいない植物が点々とある刈り取り区画を見ることが出来た。なにもなくなった地面は不規則に掘り起こされていた。苔ひび割れのタジュールの死体がその穴との間にばたばたと倒れていた。もっとも近い30歩ほどのところにある死体は頭蓋骨が潰されて横たわっていた。数人の吸血鬼が優しくも見える様子で死体に跪いていた。彼らはボロを着ていて、明るい日光の下でもつれた髪の毛は鈍く反射していた。腐ったような臭いは、死んだタジュールのものか吸血鬼のものかはっきりしなかった。いや、もしくは各吸血鬼の後ろでその血糊をしゃぶっている触手を持つクリーチャーのものかもしれなかった。彼女は喉に上がってきた塊を飲み込んだ。
唐突にさえずるような音が彼女の後ろから聞こえた。ニッサは杖を構えて振り返った。タジュールとハイバが数匹のクリーチャーに追われながら駆けてくるのを期待していた。彼女は目を閉じ、ゼンディカーの森の無尽蔵の力を近くに感じ、血の中に沸き起こらせ彼女の足の下の土やまわりのツタから引き寄せた。彼女は、ケダモノどもに、木を破壊するものに、バーラ・ゲドのジョラーガが不法侵入者を、蛮刀を持った余所者をどう扱うかを見せ付けてやるつもりだった。それはタジュールの甘いやりかたとは違う――あふれる憎悪で歓迎されるジャングルの厳しさだった。
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