◆機能の変わらないオラクル変更点

Elixir of Immortality
基本セット2011の新カードに問題点がある。このテキストを考える際、このカードをコントロールしていてなおかつオーナーでない場合を考慮していなかった。この場合、確かにあなたはこのカードをあなたのライブラリーに入れて切り直せない。総合ルール400.3には「オブジェクトがそのオーナー以外のライブラリーや墓地や手札に行く場合、それはオーナーの相応の領域に行く」とあり、このルールを知っているならこのテキストのままでもいいのだが、我々はこのカードが実際にどう働くかをきちんと記述させたい。というわけで訂正を入れることとなった。

それが決定したのはいいが、ここで2つの質問を想定した。
1、誰が切り直すのか?
2、自分がオーナーでコントローラーであるとき、何回切り直しが行われるのか?

印刷されたテキストに基づくと、その答えは
1、《不死の霊薬/Elixir of Immortality(M11)》の能力のコントローラーが切り直す。オーナーではない。
2、この場合は1回のみ。

機能的には何も変わらないが、M11のパックから出てくるカードより正確なテキストが以下である。
新テキスト:
+ {2},{T}:あなたは5点のライフを得る。Elixir of Immortalityとあなたの墓地をオーナーのライブラリーに加えて切り直す。

《集会場/Assembly Hall(MMQ)》
「そのカードを公開する」から「それを公開する」に変更された。《冥府の教示者/Infernal Tutor(DIS)》と《想起/Remembrance(USG)》が「それを公開する」とあるので、それに従う。

新テキスト:
+ {4},{T}:あなたの手札にあるクリーチャー・カード1枚を公開する。あなたのライブラリーからそのカードと同じ名前のカードを1枚探す。それを公開してあなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す。

Balduvian Shaman
全部テキストを読んでしまうと私が発狂してしまうので、今回は1番目の注釈文のみ注目する。この注釈文はテキスト変更能力が何をするかを説明している。だが、「黒の呪文を打ち消す」なんて能力、現存するどの白のエンチャントにも書かれていないのだ。《日中の光/Light of Day(TMP)》から引用することにした。

新テキスト:
{T}:あなたがコントロールする累加アップキープを持たない白のエンチャント1つを対象とする。それに書かれた、色を表す単語1種類を全て別の色の単語1種類に置き換える。(例えば、「黒のクリーチャーは攻撃できない」を「青のクリーチャーは攻撃できない」に変更してよい。)そのエンチャントは「累加アップキープ {1}.」を得る。

《取り引きのテーブル/Bargaining Table(MMQ)》
このテキストには「この能力を起動する際の」が訂正として付け加えられた。確かにその通りなのだが、Xはコストに存在しているのだから、起動する際なのは明白だ。もともとこの言葉は書いてなかったし、Chromatic Armorや《魂の鋳造所/Soul Foundry(MRD)》には書いてないのだから、この言葉を取り除くことにした。

新テキスト:
+ {X},{T}:カードを1枚引く。Xは、いずれかの対戦相手の手札のカードの総数である。

Basalt Monolith
能力の順番を入れ替えた。

新テキスト:
Basalt Monolithは、あなたのアンタップ・ステップの間にアンタップしない。
+ {T}:あなたのマナ・プールに、{3}を加える。
+ {3}:Basalt Monolithをアンタップする。

《青銅の馬/Bronze Horse(CHR)》&《抵抗の精神/Spirit of Resistance(INV)》&《雷鳴の杖/Thunderstaff(DST)》
これらは軽減効果を生み出す常在型能力を持っている。そこで使われている「場合」は、別のものを指している。「場合」の文章がチェックするのは、「この効果が特定のタイミングで機能する」、このクリーチャーにダメージが与えられる場合という状態の変わりに、常時この能力が「オン」になる状態なのである。つまり「している限り」を使うべきである。《雷鳴の杖/Thunderstaff(DST)》は両方使っているので厄介だが、これは「限り」と「場合」が合わさったものになる。

《青銅の馬/Bronze Horse(CHR)》の新テキスト:
トランプル.
+ あなたが別のクリーチャーをコントロールしている限り、Bronze Horseを対象にとる呪文がこれに与える全てのダメージを軽減する。

《抵抗の精神/Spirit of Resistance(INV)》の新テキスト:
+ あなたが各色のパーマネントをコントロールしている限り、あなたに与えられる全てのダメージを軽減する。

《雷鳴の杖/Thunderstaff(DST)》の新テキスト:
+ Thunderstaffがアンタップ状態である限り、いずれかのクリーチャーがあなたに戦闘ダメージを与える場合、そのダメージを1点軽減する。
{2},{T}:攻撃クリーチャーはターン終了時まで +1/+0 の修整を受ける。

《カリスマ/Charisma(MMQ)》
2体の別々のクリーチャーを参照するこの種のグループは、どんなときでもそれが参照しているのがどちらのことなのかを記述するだめにえらく長い文章にならざるを得なかった。しかし同種が「もう一方のクリーチャー」と書かれているのに《カリスマ/Charisma(MMQ)》は「2番目のクリーチャー」と書かれている。ほかのカードに合わせて言葉遣いを直す。

新テキスト:
エンチャント(クリーチャー).
+ エンチャントされているクリーチャーがいずれかのクリーチャーにダメージを与えるたび、Charismaが戦場にあり続ける限り、もう一方のクリーチャーのコントロールを得る。

《二枚舌/Duplicity(TMP)》&Gustha’s Scepter
これらのカードそれぞれの最後の能力に示されている言葉遣いは、別々のプレイヤーがオーナーであるカードが追放されてることを想定している。やることはできるがどう見てもありがちとは言えない。こういう場合、我々は1人のプレイヤーが伴われることを想定した言葉遣いにするようにしている。その例が《カルニの宝石/Khalni Gem(ZEN)》でそれを想定していない例が《鞭打ちの罠/Whiplash Trap(ZEN)》である。言葉を選んだにもかかわらず、たしかに同じ働きをする。単に決定に基づいた状況はそれほど混乱が少ないから
ではないかと思われる。この2枚はKnowledge Vaultと《カイレンの公文書館/Kyren Archive(MMQ)》を参考にしつつテキストを合わせる。

《二枚舌/Duplicity(TMP)》の新テキスト:
Duplicityが戦場に出たとき、あなたのライブラリーの一番上から5枚のカードを裏向きで追放する。
+ あなたのアップキープの開始時に、あなたはあなたの手札にある全てのカードを裏向きで追放してもよい。そうした場合、Duplicityにより追放されたあなたがオーナーであるそれ以外の全てのカードをあなたの手札に加える。
+ あなたの終了ステップの開始時に、カードを1枚捨てる。
+ あなたがDuplicityのコントロールを失ったとき、Duplicityにより追放された全てのカードをオーナーの墓地に置く。

Gustha’s Scepterの新テキスト:
+ {T}:あなたの手札にあるカードを1枚、裏向きで追放する。それが追放され続けている限りあなたはそれを見てもよい。
+ {T}:Gustha’s Scepterにより追放されたあなたがオーナーであるカード1枚をあなたの手札に戻す。
+ あなたがGustha’s Scepterのコントロールを失ったとき、Gustha’s Scepterにより追放された全てのカードをオーナーの墓地に置く。

《ヨーグモスの眼/Eye of Yawgmoth(NEM)》
「何かに等しい」は具合が悪い。より正しくなるよう「の数」を加えた。(もともと翻訳時点で語を追加しているので変更なし)

新テキスト:
{3},{T},クリーチャーを1体生贄に捧げる:あなたのライブラリーの一番上から、生贄に捧げられたクリーチャーのパワーの値に等しい枚数のカードを公開し、その中から1枚を選んであなたの手札に加え、残りを追放する。

Juniper Order Advocate&《実体なき守護者/Spectral Guardian(MIR)》
「これがアンタップ状態である限り」は他のカード全般でも一番前に来ている。これにより能力を読み取りやすくし、さらに被覆の注釈も加える。(もともとの翻訳時点で語の順番は正しかったので変更なし)

《再帰のオベリスク/Obelisk of Undoing(5ED)》
これはあなたがオーナーでありかつコントロールしているパーマネントに影響する。しかし、「あなたがオーナーでコントロールしている」という言い方しかされていない。これでちゃんとわかるだろうか?

新テキスト:
+ {6},{T}:あなたがオーナーでありなおかつコントロールしているパーマネント1つを対象とし、それをあなたの手札に戻す。

《大峨の匪賊/Ogre Marauder(BOK)》
これ自身がブロックされなくなるテキストはこのような形式ではない。それは「青のクリーチャーによってはブロックされない」や「2体以上のクリーチャーによってしかブロックされない」で使われるものである。一般的には常に「ブロックされない」を使っているのでそうする。(日本語的な表現に差異がありません。)

新テキスト:
+ Ogre Marauderが攻撃するたび、防御プレイヤーがクリーチャーを1体生贄に捧げない限り、これはターン終了時まで「Ogre Marauderはブロックされない」を得る。

《オアリムの療法/Orim’s Cure(MMQ)》&《シヴィーの武勇/Sivvi’s Valor(NEM)》
ほか82枚のカードと違い、この2枚だけが「このカードのマナコストを支払うのではなく代替コストを支払ってもよい(日本語的差異なし)」と書いてある。「’s」が続いてしまうので通常こういうテキストを用いるときにこういうカード名は避けるようにしている。(あんかばリストでは他のカードからテンプレをコピペしているうえ差異が生じないので変更なし)

《ファイレクシアの督戦官/Phyrexian Driver(NEM)》
「すべて」は必要ないので削除した。

新テキスト:
+ Phyrexian Driverが戦場に出たとき、他の傭兵(Mercenary)・クリーチャーは、ターン終了時まで +1/+1 の修整を受ける。

《原初の土/Primal Clay(6ED)》
もともと、壁以外のクリーチャー・タイプを得るものではない。その当時は壁=攻撃できないだったのでよかったが、現在はすべてのクリーチャーはクリーチャー・タイプを持っている様式になっている。現在のテキストは多相の戦士ときどき壁、をなんとか表現できるよう工夫している。

新テキスト:
+ Primal Clayが戦場に出るに際し、これは「(3/3) のアーティファクト・クリーチャー」「飛行を持つ (2/2) のアーティファクト・クリーチャー」「自身の他のタイプに加えて防衛を持つ (1/6) の壁(Wall)・アーティファクト・クリーチャー」のうちあなたが選んだ1つになる。

《縁切り/Renounce(MMQ)》
《再処理/Reprocess(USG)》に合わせて「1つにつき」を「パーマネント1つにつき」に変更する。

新テキスト:
+ 好きな数のパーマネントを生贄に捧げる。これにより生贄に捧げられたパーマネント1つにつき、あなたは2点のライフを得る。

《落石の待ち伏せ/Rockslide Ambush(PTK)》&《大地の飛礫/Spitting Earth(MIR)》
《地鳴りの一撃/Seismic Strike(M10)》と機能的には同じである。この新しいカードに合わせてテキストを揃える。

《落石の待ち伏せ/Rockslide Ambush(PTK)》の新テキスト:
+ クリーチャー1体を対象とする。Rockslide Ambushは、それに、あなたがコントロールする山(Mountain)の総数に等しい点数のダメージを与える。

《大地の飛礫/Spitting Earth(MIR)》の新テキスト:
+ クリーチャー1体を対象とする。Spitting Earthは、それに、あなたがコントロールする山(Mountain)の総数に等しい点数のダメージを与える。

《占い/Soothsaying(MMQ)》
多くのカードを見て、それらを好きな順番に戻せる。この種のテキストには順番を明示するようコンマと「その後」が必要である。

新テキスト:
{3青青}:あなたのライブラリーを切り直す。
+ {X}:あなたのライブラリーの一番上からX枚のカードを見る。その後、それらを好きな順番で戻す。

《静態の宝珠/Static Orb(TMP)》
《冬の宝珠/Winter Orb(5ED)》と《保管庫集合所/Storage Matrix(UDS)》の常在型能力は「限り」であるが、これは「場合」が使われている。それらに合わせて変える。

新テキスト:
+ Static Orbがアンタップ状態である限り、プレイヤーは、自分のアンタップ・ステップの間にパーマネントを2つまでしかアンタップできない。

《要塞の計略/Stronghold Gambit(NEM)》
現在のテキストでは、3番目の文章は誰がパーマネントを置くのかを説明している。その後の文章は受動態になって、暗にあなたが行うことを示している。さらに、数が同数だった場合に何が起こるかまで説明している文章も分離されて続いてしまっている。

新テキスト:
+ 各プレイヤーはそれぞれ、自分の手札にあるカードを1枚選ぶ。その後、各プレイヤーはそれぞれ選んだカードを公開する。これにより公開された、点数で見たマナ・コストがもっとも低い各クリーチャー・カードのオーナーはそれぞれ、それを戦場に出す。

《泥棒の競り/Thieves’ Auction(MMQ)》
「それらのカード」に対して最適な先行詞が無い。これは「これにより追放された全てのカード」に変える。

新テキスト:
+ 全てのトークンでないパーマネントを追放する。あなたから始めて、各プレイヤーはそれぞれ追放されたカードのうちの1枚を選び、それを自分のコントロール下でタップ状態で戦場に出す。この手順を、これにより追放された全てのカードが選ばれるまで繰り返す。

《猛毒の息/Venomous Breath(ICE)》
この効果は遅延誘発型能力を作る。呪文を唱えて、解決された後、戦闘終了時に遅延誘発型能力が誘発してスタックに乗る。その後能力が解決する。多くのカードが行っていることであり、特に重要ではない。しかし、他のカードと違い、これの場合は遅延誘発型能力の内部に対象をとっているものがあるのである。これは禁止されている。なぜなら、ひどく曖昧だからである。これはこの数ヶ月間R&D内でホットな話題だった。印刷されたテキストは2通りの解釈ができてしまうが、私は「呪文を唱える際に対象のクリーチャーを選び、呪文の解決時には遅延誘発を生成する以外なにも起こらず、その後戦闘終了時に遅延誘発型能力がスタックに乗り、解決したときにこのターンに選んでいたクリーチャーがブロックしたクリーチャーすべて、あるいはそれにブロックされたクリーチャーをすべて破壊する」が正しい解釈であると信じる。それを明確にするために新しいテキストにした。

新テキスト:
+ クリーチャー1体を対象として選ぶ。戦闘終了時に、このターン、それをブロックしたかそれによってブロックされた状態になったクリーチャーを、全て破壊する。

《俗世の教示者/Worldly Tutor(MIR)》
《神秘の教示者/Mystical Tutor(MIR)》と《悟りの教示者/Enlightened Tutor(6ED)》などと違うテキストになっていたので直す。

新テキスト:
+ あなたのライブラリーからクリーチャー・カードを1枚探し、そのカードを公開する。あなたのライブラリーを切り直し、その後、そのカードをその一番上に置く。

◆人々のための「紋章」

 接死以外の大きなルール変更がもうひとつ。紋章についてルールが規定された。なんじゃそりゃ、と思うのも無理は無い。今までそのっようなものは無かったのだから。このオラクルアップデートが行われるまでは、少なくとも存在していなかった。そしてたった1枚だけ、変更されたのが《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant(ALA)》である。我々が次に発売を予定しているデュエル・デッキ、「エルズペスVSテゼレット」で、エルズペスの3番目の能力にそれを見ることができるだろう。「-8:あなたは「あなたがコントロールするアーティファクトとクリーチャーとエンチャントと土地は破壊されない」を持つ紋章を得る。」と書かれることになる。その時点であなたがコントロールしているあらゆるアーティファクト、クリーチャー、エンチャント、土地に影響し、残りのゲームの間、コントロールしている限り影響する。その後土地を戦場に出しても、それも破壊されない。クリーチャーのコントロールを相手に奪われたら、そのクリーチャーは破壊されるようになる。驚くべき威力だが、非常に限定的でもある。この能力は破壊されないようにする。しかし破壊されないというのは奇妙なものなのである。これは能力ではない。キーワードでもない。特性を変えるものでもない。ゲーム・ルールに影響するものなのである。「あなたがコントロールするアーティファクト、クリーチャー、エンチャント、土地は破壊できない」としてもいいが、キーワード能力に見えてしまうのはクールではない。飛行とか+2/+2の修正などを与える場合は、パーマネントの特性に影響するもので、能力の解決時点でコントロールしているものにだけ影響する。後に戦場に出たものは影響されないのだ。対戦相手がそれのコントロールを得てもそのボーナスは残ったままだ。このエルズペスのテキストとは微妙に異なる機能なのである。

 やれやれ。

 エルズペスが真に望んでいることは、ゲームの残りの間機能する常在方能力を持つエンチャントのようなものを作り出せばいい。誰にも触れないエンチャントを。破壊されたり、盗まれたりしてはならない。ゲームの途中からヴァンガード・カードを出してくるようなものだろうか。ゲームの残りの間効果を持つオブジェクト、それを作り出したのだ。それが紋章である。

 紋章は新しいオブジェクトで、カードともトークンとも異なる。基本的にはそれの能力を持つ目印である。実際、その能力が唯一の特徴である。紋章はその能力のほかには、色、名前、カード・タイプ、ほかもろもろを持たない。それはコマンド領域に存在する。そう、アーチエネミーの計略やプレーンチェイスの次元、ヴァンガードやEDHのジェネラルが置かれる領域だ。これはパーマネントではなく、それに触ることも追い出すこともできない。単純に、それに言及するカードが存在しないからだ。「エルズペスVSテゼレット」が発売される前の最後の総合ルール更新の機会であるために、このタイミングで変更された。

 このことは、エルズペスの機能を何も変えていない。いつもと変わらず彼女は仕事をするだろう。このことは、未来に紋章を作るプレインズウォーカーがさらに出てくるということを意味しているのだろうか? まあ見ていたまえ・・・

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