昨日ジェイ×チャン(だいたいあってる)を買いにいったついでに寄ったときに「ヴァラクートと山がたくさん(3つ以上はたくさん)同時に出ると全部誘発するんだって。どうしてそうなるのかわかんないけどそうらしい」という会話を又聞きしていました。

じゃあ改めてよくわからないけどそうなるヴァラクートのひみつを解明しちゃうよ!☆

誘発型能力、と一口に言いますが、おおまかな見分け方として「~とき」「~たび」「~時に」とつくのがイッツトリガードアビリティ、とよく言われています。

もう少し誘発型能力の細かい部分を見てみると、「ゲームの状態で誘発するなかま」「何らかの行動(イベント)で誘発するなかま」というのが存在します。ヴァラクートとはあまり関係ないですけどね。グル的にはどれもイベント誘発じゃん、という感じでしょうがまあ感覚的に、ゲームで勝手に誘発するもの=「アップキープ開始時に」等と、なんらかの行動をしない限り誘発しないもの「攻撃したとき」等 という感じで。

そんな感じで、覚えておくといろいろと得をするキーワードが「状況誘発型能力」と「遅延誘発型能力」と「領域変更誘発」です。

状況誘発型能力、というのは先に述べた「ゲームの状態で誘発するなかま」を指します。これには《皇帝クロコダイル/Emperor Crocodile(UDS)》のような「あなたが他にクリーチャーを1体もコントロールしてないとき」や《仮装のクロコダイル/Veiled Crocodile(USG)》の「いずれかのプレイヤーの手札にカードが1枚もないとき」が代表的なものです。古いカードですが珍しい誘発条件としての代表として頭に置いておくといいかもしれません。新しい例では《不死のコイル/Immortal Coil(ALA)》の「あなたの墓地にカードがないとき」です。

状況誘発型能力はひとつ覚えておかなければならないことがあります。「その能力が解決されるか打ち消されるなどでスタックから取り除かれるまでは再び誘発することはないが、それ以降にその能力を持つオブジェクトがまだその領域に残っていてゲームの状況が誘発条件を満たしていた場合には、その能力は再び誘発する。」というルールです。

このタイプの誘発条件はゲームの状態を常にチェックしているので、いったん条件を満たして誘発した後、スタックに乗った後の行動で同じ条件がふたたび満たされるような場合が起こりえるからです。あるいは、状態を満たし続けている場合、ずっと誘発し続けてしまう無限誘発を防ぐためのルールでもあります。もっとも、後に続く文章で「解決してもなお条件を満たしているならまた誘発するよ」とありますので、何度でも誘発することには変わりないのですが。

全文はCR603.8項を読んでもらうとして、次。

「遅延誘発型能力」は、呪文や能力の文章の最後のほうに追記されているものです。一番有名なものとして「キャントリップ」効果は遅延誘発型能力の代表選手と言えるでしょう。

これの見分け方としては、「次の~時に」があることが目印として最適でしょう。《微光角の鹿/Glimmerpoint Stag(SOM)》や《銀白のスフィンクス/Argent Sphinx(SOM)》の「次の終了ステップの開始時に」や《時を越えた詠唱/Cast Through Time(ROE)》の「あなたの次のアップキープの開始時に」といった感じで使われています。

これに関してはいくつかの細かな取り決めがあります。「生成される前に条件を満たせなくなったら」とか、「コントローラー(あなた)はどっちのことを指すのか」とか、「クリーチャーを、って書いてあるけど土地に戻ってたらどうなんの」とか、とか。

今回の主題では無いので細かな取り決めについてはCR603.7項を読んでみてください。

さいご。イベントによって誘発する誘発型能力。これは本当に種類が多く、およそゲームで行動するすべての行動に対して誘発条件が設定されていると言っていいでしょう。

そのなかでも二つ特別なものがあります。「~になる誘発」と「領域変更誘発」です。

「~になる誘発」は「タップ状態になったとき」が代表例でしょう。定義として、ある位相から条件の位相になった場合に誘発します。もともとその条件の位相であった場合には誘発しない、というルールを持つ誘発条件です。

「領域変更誘発」、前置きはここまででようやくヴァラクートの話です。これは、オブジェクトが領域を移動することが条件に含まれている誘発型能力のことで、もっともメジャーなのが「戦場に出たとき」で、次に「戦場から離れたとき」あるいは「墓地に置かれたとき」です。

とにかく領域を移動する言葉がそこに使われていればそれは領域変更誘発です。だがしかしまずはヴァラクートに関係しない「戦場を離れたときの誘発」についての注意点がひとつ。戦場を離れたときに誘発する能力は、例外としてその特性を決定するために最後に戦場にあったときの情報(Last Known Infomation=LKI)を使いますが、さらに例外として「いずれかの領域から/from anywhere」と書いてあるものは領域変更誘発ではないので戦場を離れたときの能力として扱わない、というルールがあります。これ豆知識です。

「ほかの何かが戦場から墓地に置かれたとき」の能力を持っているパーマネントが、同時に戦場から墓地に置かれた場合に誘発するのはこの特別扱いのためであり、「墓地に置かれた後、誘発するかどうかは戦場にあったときの状態を見る」ことになります。603.6dとその例に書かれていることで、このルールが初心者を惑わす元凶と言ってもいいでしょうw

さて、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle(ZEN)》です。まずはテキストをよく読むことから。どんなときでも基本は忘れずに。

《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle(ZEN)》
Valakut, the Molten Pinnacle enters the battlefield tapped.
Whenever a Mountain enters the battlefield under your control, if you control at least five other Mountains, you may have Valakut, the Molten Pinnacle deal 3 damage to target creature or player.
Tap: Add Red to your mana pool.

この能力は一見してわかるとおりETB、戦場に出ることによって誘発する領域変更誘発を条件としており、山が戦場に出るイベントが起こったとしても、誘発するかどうかの条件を決める「if節」まで用意されていてけっこう面倒と言えます。

「if節」ルールは603.4に書いてあり、「誘発するかどうかの条件」と「解決するかどうかの条件」の2つの意味があります。イベントが起こっても条件を満たしていなければ誘発せず、いったん誘発してスタックに乗っても、解決時に条件を満たしていなければ解決時に能力は何もせず終了する、という意味を持っています。ヴァラクートの場合は「少なくともほかに5つの山をあなたがコントロールしていること」です。

他の山を数えますから、つまりヴァラクート、山5つの状態で山が1つ出れば条件を満たすということですね。これが最低条件で、それ以上でもいいわけです。
ヴァラクート算の混乱の原因は、この「少なくとも」の部分にあるのではないかと思います。山が出るたびに誘発するだけならわかりやすかったのかもしれません。

さらに悪さをしているのが同時に複数の土地を出す《砕土/Harrow(ZEN)》と萃香《原始のタイタン/Primeval Titan(M11)》。同時に2枚の土地を出せるがために、ヴァラクートのif節の条件を満たしているのかどうか、という点がわかりにくくなっています。

さてif節をチェックするのは「誘発条件の一部として条件が真かどうかをチェックする。」なので、誘発条件、つまり「戦場に出た」ことの一部として扱われます。そして、戦場に出たことで誘発する誘発型能力は、「1つ以上のパーマネントを戦場に出すイベントのたびに、戦場に出ているすべてのパーマネント(今出たものも含む)は、そのイベントにあった、戦場に出た時の誘発条件をチェックする。」

今出たものを含む、というところも重要ですね。自分自身を含み、条件が真かどうかを「出た後の状態」でチェックします。

ここまでくれば、「《魂の管理人/Soul Warden(M10)》が3体同時に戦場に出たら得られるライフは何点?」という質問に簡単に答えを出せる人なら理解できると思います。

ヴァラクート算はさらに「ヴァラクートが何枚あるか」というところも関係してきます。

ヴァラクートが3枚、山が4枚のときに《砕土/Harrow(ZEN)》で山が2枚出た場合。
各ヴァラクートにとって、「ほかに5つの山をコントロールしている状態で出た山」は2枚です。いま出たばかりの山Aにとってほかの山5枚、おなじく出たばかりの山Bにとってもほかの山が5枚あるからです。
よって、1枚のヴァラクートが与えるダメージは3点+3点。これが3枚あるので(3点+3点)*3の合計18点、ということになるわけです。

自分でも書いててやばかったですが、CR引用しての説明ならこんなところでしょうか?突っ込み等あったらよろしくお願いします。

コメント

nophoto
解説おつかれさまです
2010年12月7日12:18

>さらに例外として「いずれかの領域から/from anywhere」と書いてあるものは領域変更誘発ではないので

いえ、それも領域変更誘発ですよ。
それなのに何故誘発しないのかは、603.6dをよーくご覧になるとすぐにお分かりになるかと思います。

JFK_
2010年12月7日22:32

領域変更誘発のなかの例外でした。ご指摘感謝です。

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