【紙】やっとできたマイザー・デルタ【飛行機】
発売日に届いたのでスミ入れ用ガンダムマーカーとシルバーペンを買ってきてマイザーを組んでいました。

ひとくちにプラモ、といってもいろいろあるわけで、ガンプラがもたらした技術革新がどういうものなのか、改めて認識させられました。

まずマイザーのパーツ数もすさまじいものでしたが、特徴として

※パーツが小さい。
 1ミリ四方なんて生易しいレベルじゃないパーツが散見されます。そう、1個2個のレベルじゃなく10個程度1ミリ以下のパーツがあります。プラパーツ、ポリパーツ、クリアパーツ・・・しかも向きが大切とかもあって、保持するのも大変、接着するのも大変、落としたり無くしたらアウトです。細心の注意で爪でパーツをつまみながら差し入れなければならず、作っている最中には息を止めていました。

※パーツがどこにあるかわからない。
 A~Zの区分でランナーに分かれていますが、これがまたいろいろなところからパーツを探してこなければならない&CとDのランナーがくっついていたりKとJのランナーにVがくっついていたりと、ランナー効率と色分け効率だけを考えられているためパーツを探してくるのもわりと大変でした。

※保持力がない。
 基本的には接着するのである程度の保持はできますが、ダボ穴(凹凸で組み合わせる穴)ではなく差込みで済ませているものがほとんどで、エッジのきいたパーツわけには必要なわけですが、どうしても剛性と強度は下がります。バーチャロイドそのものも細身でパーツが薄くなりがちで、しかもパーツとパーツが別の色になるためにランナーわけをされた結果その間を繋ぐジョイントが申し訳程度に差込むだけです。
 結果どうなるかというと、関節部分を動かすために力を入れると、接着が甘いとその周辺のパーツがぼろりと取れます。取れるだけならいいんですが、先にも言ったとおりマイザーは細身なので普通に壊れる可能性が高いです。当然、強度そっちのけで極薄&長いパーツまで用意されているので、下手に触るだけで折れます。

ハセガワはスケールモデルメーカーですから、ディティールとエッジを優先し、プロポーションだけが完成すればそれでよし、という意図があります。つまり、それ以外のことは二の次にされている設計思想なわけです。それは納得づくでいかないといけません。世の中には「説明書が無い、保持も考えられてない、ヤスリがけは当然のレベル、パーツがやたら多すぎる」なんてスケールモデルはごまんとあり、「作るだけでえらい」「完成できれば手放しで褒められるレベル」というものがスケールモデルやガレージキットと呼ばれるものです。


いっぽう、玩具プラモを作り続けて30年。「ガンプラ」というものがどのような存在なのかを改めて見てみましょう。

※パーツ別に別種の素材が使われている
 もちろんポリキャップはポリエチレン、プラはプラスチック・スチロール樹脂なわけですが、ABS樹脂を使っていることが挙げられます。ハセガワ、ブキヤのプラモしかないのですが、これがガンプラの最大の特徴かもしれません。ABS樹脂はプラよりも堅く、しかし弾力も兼ね備えているので応力のかかる関節部とフレーム部分に採用されています。この使い分けと、ハセガワマイザーのような「パーツを組み合わせてフレームを作る」ツーバイフォーのような作りではなく「鉄骨の骨組みをポリキャップでつなぎ、装甲をつける」鉄骨住宅のような設計思想がとられるようになってきたためです。また、特に強度が必要な場合は最小限度のビス止めをも採用し、徹底的に強度を上げています。

※細かいパーツはあるが細かすぎない
 最小のパーツでも2ミリはあります。スケール(1/144と1/100)の違いはあるでしょうが、HGUCはディティールやバランスを犠牲にしており、ディティールをあげればサイズが大きくなる、ということをやってのけてPGというグレードまで現実のものとしました。しかし、最近1/35のガンダムやRGなどが生まれ、1/35の大きさでちゃんと立っていられるのもこの設計思想のおかげでもあり、RGが実現できたのは整形技術の進歩と設計思想の進化でもあります。それでいて接着剤を一切使わず、パーツの色分けもされ、素組みでしっかり見栄えがするという問題を解決した(あるいはそれを考慮したデザインをする)ことも重要です。

※パーツがまとまっており、わかりやすい
 説明書に従い、用意するランナーは3つ程度で済みます。ひとつのランナーに1段階で使うパーツはほぼまとめられており、このパーツ配置のわかりやすさこそが「ガンプラ」の敷居を大幅に下げたひとつの革命でもあると思います。

※エッジはぬるい
 安全面には特に配慮されており、ガンダムのアンテナですら軟質樹脂を使ったり太目にされていて、「触って痛くない」というエッジのユルさが、ガンプラが失ったものです。そのため、ガンプラ雑誌の改造項目はまずエッジを研ぐことに主眼が置かれてきています。もちろんプロポーションや個人の好みの造型というものもあるでしょうが、基本的には尖らせたり薄めにするだけの加工でいいということでもあります。

※可動範囲が広い
 プラモは作って飾る楽しみもありますが、「ガンプラ」がガンプラたるところは、その可動範囲の広さと耐久性にもあります。動かして遊べるプラモデル。これがハセガワマイザーとの最大の違いでしょう。テムジンですら危なっかしくて動かすのには躊躇しますが、ガンプラは作り上げた後もいろいろなポーズを自由にとらせ、それが保持できるのです。

ガノタですからガンプラも褒めて当たり前、ちゃ当たり前ですがネ、バンダイプラモがすべて作りやすいというわけでもないです。あくまで「ガンプラ」というブランドにおいてはそう、という話(Vf-25のプラモはそりゃあもう)です。

ハセガワやブキヤのように「ディティールとプロポーションを最優先し、飾ることを目的としたプラモ、ガレキ」も褒められてしかるべきです。それを実現するのは並大抵の技術では無いからです。エッジも効いていますし、相応の手際と手先の器用さは求められますが、出来上がったものは素晴らしいものです(自分のような素人が作るとバランスが崩れていたりしてベストが出せません。)。

その点、エッジもヌルくプロポーションバランスも犠牲にしていますが、可動範囲や剛性を重視し、なおかつ「誰が組んでもある程度形になる」という敷居を引き下げた「ガンプラ」ブランドもまたそれはそれで褒めるべきでしょう。RX-78を何度もリファインし続けて技術を蓄積し、プラモを売るために番組を作ってもらう、それを30年もやってきただけのことはあるということです。

久々に積みプラモを崩しましたが、やっぱプラモ作りは楽しいですね!

コメント

魚屋
2011年1月29日22:27

ガンダムは模型にすることを前提にデザインしている気がするので、差が出るのは致し方ないと思うなあ。チャロンのプラモ買うやつはとがってるやつらばっかりだから、これくらいが丁度良いのよさ(笑

nophoto
まんはた
2014年2月11日1:44

ガンプラはプラモじゃなくて組み立て式フィギュアにしか感じない。(どれも簡単すぎ()
チャロンとかは通常のプラモデル。で、良くない?

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